アルワシウ・ アルカディム
アルカディア大陸
異世界に在る大陸、アルカディア
科学文明の発展は見られず、妖精が宿る澄んだ大地に住まう種族は、実に様々だ。
古により伝わる魔法も廃れつつあるとはいえ、細々と受け継がれている。いや、もしかしたら隠されているだけかもしれない。
世界は、魔法と剣が支配していた。
はるか昔、アルカディア全土を巻き込んだ大戦から、長い長い月日が流れた。
そして今。危ういバランスを保っていた平和は、終焉を迎えようとしていた。
種族
人間
大陸の大半を占める種。私利私欲が強く、歴史的にも残虐的なものが多い。それゆえ、他の種族からあまり好かれていないが、かつては人間も妖精と共に過ごしていたという。
エルフ
人間族に比べて寿命と、耳の形が長い。妖精と仲が良く、彼らだけが共有する言語がある。人間族に領域をじわじわと奪われていく妖精を守るため、本来争いを好まない種族だったエルフ族も、個々に持つ不可思議な身体能力を狂暴なものへと進化させていった。特に凶暴な戦闘能力を持つエルフは肌が黒く、それゆえダークエルフと呼ばれるようになった。皮肉にも、ダークエルフは妖精に好かれていない。
ビースト
身体能力が高く、ヒト型だが耳や牙など個々に獣と同じソレがある種。己の勘を頼りに自然の中で生きているが、その身体能力の高さと魅惑的な身体であることから、奴隷として人間たちの間で取引されており、拉致されることが多い。獣と意思疎通が可能。
アクゥー
主に海や離島、アクアラビリンスに住む種。長く水中に留まることが可能であり、陸での生活も苦ではない。昔は魔族と一緒にされていたが、大戦中に活躍し人間族と同様の知能を持つことが知られてからは共存するようになった。
竜人
驚異的な強さを持つドラゴンとヒトが混じり合った種。ドラゴンのような絶対的な力を魔力を持つが、姿はヒト型。寿命もドラゴンを抜かした種族の中では最も長い。しかし大戦の時、何故か一斉に姿を消した。今では絶滅したとされている。
ドラゴン
寿命が長く、魔力・知能も人やエルフよりも高い。圧倒的な力を持つ種。人間のように私利私欲がないため、領域や契約を破らない限りその力を振るうことはない。
魔族
姿は様々。高い魔力により、高威力の魔法を扱う。自由気ままな彼らは大戦後にある森から出られないよう封印されたが、今もその封印が解かれるのを待っている。
物語のはじまり
アルカディア大陸西部地方に築かれた大国「ルナジェイド」は、齢16となる新しい王を迎えてから生まれ変わった。
彼は小さな権力を行使することに飽き足らず、今や世界を掌握せんと卑しき野望を滴らせ、この小覇王の命の元に漆黒の軍団が一斉に大陸各国へ侵攻を始め、複数の国と戦火を交えるに至っている。それを可能にするだけの戦力が、この大国には”在る”のだ。
そして、そんな大国ルナジェイドの侵略を受けようとしている国の一つに、アルカディア大陸南部に位置する小国「サンレーン」があった。国力はかの大国の一割にも満たず、国産物ももっぱら農作物や海鮮のみ。先祖代々女王が治める国だけに、どこか神聖がかった優美な小国で、住民も皆温厚であった。
そんな弱小国サンレーンの滅亡は、もはや避けられない運命のように見えた